買い板に並んでいれば買える可能性もあるのに、なぜわざわざ売り板にぶつけてまで買わないといけないのか?
こういう疑問を持たれる方もいるようなので、ちょっと補足したいと思います。
今回は板についての考察なので、チャートがどうなっているかについては考えない事にします。
(板1)を見ると、イワユル「上値が重い」という状況です。
特に864円の売り板24万株の蓋(ふた)が重くかぶさっていて、ちょっとここでは買えませんね?
これは、誰でもこの板を見れば思う事であり、ブタにも狼にも等しく「下がりそう」という状況です。
ところが・・・
(板2)になると、863円の売り板が消え去ったのみならず、鉄板とも思えた864円の売り板が12万株に半減してしまっています。
ブタにも狼にも「下がりそう」と思えた場面で、買い上がってる人がいるという事ですね?
売りと買いを間違えてる人がいるのでしょうか?
その可能性も無くはないですが、「
何らかの根拠があって買い上がってる人がいる」という可能性の方が高いでしょう。
(少なくとも「板」以外の根拠で買っている人がいる、という事。)
しかし依然として「上値が重い」状況には違いありません。
もう少し様子を見たいところです。
(板3)になると864円の売り板は当初の10分の1にまで減少し、863円の板の方が厚くなっています。
(板1)の段階では誰の目にも「下がる」と思えたのに、30万株近くも買われて864円の板も消える寸前です。
マーケットにはいろいろチャンスが転がっていますが、騙されるケースも少なくありません。
「買い板が厚いから買い、売り板が厚いから売り」
間違いではありませんが、これはブタにも知れ渡っている事であり、これだけで稼げるなら苦労はありません。
(板1)から(板3)への変遷には「意外性」がありますが、だからこそ更に上がる可能性があると考えられます。
さて・・・
ここで「買う」と決めた場合、あなたなら売り板を喰いにいくでしょうか?
それとも863円の買い板に並ぶでしょうか?
チャートが無いので何と言えませんが、もし買うと決めたなら864円の売り板に買いをぶつけるべきでしょう。
あなたが買わなくても誰かが買ってしまう可能性が高い局面ですから。
仮に863円の買い板に並んで買えたとしたら、有ると思えた「勢い」が幻想だった可能性が大です。
(板3)の状況から5分後を想像してみましょう。
(板3)から更に上がったとすれば、儲かったのは売り板にぶつけて参戦した人で、買い板に並んだ人は取り残されている可能性が高いです。
(板3)を頂点に下がったとすれば、(板3)で買い参戦した人は結局みんな負けですが、売り板にぶつけた人と買い板に並んだ人とでは1Tickの差しかありません。
デイトレという仕事の半分以上は、チャンスを探す事です。
実際に買ったり売ったりというのは、トレードにおける作業全体の極一部であり、またそうであらねばなりません。
道にめったに1万円札が落ちていないように、マーケットにもめったにお金は落ちていません。
しかし、一たびお金になりそうなチャンスを見つけたら、仮にそれが偽札であっても、取りあえず確実に拾いあげたいものです。
もしそれが偽札なら、さっさと投げ捨て、手に付いた砂をパンパンとはらって、また次を探すだけです。
一方、買い板に並ぶというのは、チャンスを見つけてもすぐに行動せず、誰かがそのチャンスを手渡してくれるのを待つ行為です。
手渡してくれる人は「価値が無い」と思うから、あなたに渡してくれるのです。
その人が間違っていれば、あなたは稼げる事もあるでしょうが、その人だってあなたに稼がせようと思って手渡してくれるはずもありません。
マーケットにめったにないチャンスを見つけ、さらにあなたに儲けを譲ってくれる人がいて初めて参戦できるのが買い板に並ぶという行為です。
買い板が厚いところで買い、売り板が厚いところで売る。
1円でも安く買う。1円でも高く売る。
これは基本であり、だれも間違いという人はいないでしょう。
でも、基本だけで勝てるなら、誰でもトレードで成功してしまいます。
基本の理解は勿論必要ですが、自分をブタではなく狼の立場に置くという意識を常に持っていないと、すぐ誰かに食べられてしまう事を知っていても損はないと思います。
「なぜ売り板を喰いにいくのか?」
これは自分が狼たるべく行動しているという、最低限の意思表示かもしれません。
必ずしも売り板にぶつけなければ勝てないという事はないし、売り板にぶつけたからといって勝てる保証もありません。
この記事がなんとなく「?」の方は、無闇に試したりしないで下さい。
逆効果の場合もありますので・・・
チャンスというのは、潜在的に価値があるものを言います。
だからこそ、これを見つけるだけでも大変なのです。
このチャンスを確実に手に入れるコストが「1Tick」であり、これを高いと思うか安いと思うか、これはケースバイケースで構いませんが、固定観念的に決めつける事が賢明だとは思えません。
上記の板情報は説明用に私が作成したもので、実際の銘柄とは関係ありません。
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