デモトレやペーパートレード(以下、デモトレ)の是非については、賛否両論、様々な意見があります。
私は自分の苦い経験から得た教訓としてデモトレを「おススメ」する立場をとっていますが、デモトレを否定する意見にも、相応の根拠があると理解しています。
デモトレをやる意味が、有るのか無いのか?
それは個々のトレーダーが判断すれば良い事であって、画一的に優劣を決定できるものではありません。
まずはデモトレの長所と短所をよく理解し、自分の適性を考えてみるなどして、デモトレというステップを踏むか、あるいは、ストレートに実弾から始めるかを選べばよいでしょう。
私が問題視するのは、この判断が有る事すら知らないまま、
トレード = 実弾
のように思いこんでしまっている人が少なくない事です。(まさに、私がソレでした。穴があったら、飛び込みます。)
デモトレは、この2つの要素を段階的にクリアしようという事です。
まずは、デイトレを単なるゲームとして取り組んでみて、勝てそうかどうか自分の能力を試し、経験を積みます。
勝っても負けても自己資金の増減は無い為、ゲーム(=デモトレ)だけに集中する事ができます。
これで「負ける事も時々あるが、トータルでは確実にプラスにできる」という確信が持てない間は、実弾に進んでも勝てるはずがありませんし、確信が持てるようになれば、そこで実弾に進む算段をすれば良い事になります。
実弾トレになると、デモトレにはなかった様々な難しさが加わるようになります。
デモトレなら苦も無く守れた「ルール」が、身を切るような苦痛を伴うようになります。
これは、漠然と理解はできても、本当のところは実際に経験してみなければわからない事です。
「頭では解っているけど、ついつい躊躇してしまってねぇ~」
なんて事は、経験する以外に知る方法はありません。
誰でも実体験するまでは「ルールくらい、自分なら苦も無く守れるよ!」と思いこんでいるものです。
従って、デモトレより実弾トレの方が難度が格段に高くなります。
難しくなる事自体は、デモトレ経験者であっても避ける事のできない厳然たる事実です。
しかし、その先が大きく違います。
デイトレしていると、どんなに優秀なトレーダーでも、負けトレードにぶつかる事は避けられません。
時には連敗する事もあるでしょう。
この時、デモトレを十分に積んだトレーダーであれば「なぜ負けたのか?」を分析する事ができます。
自己規律に違反したから負けたのか、必然的・確率的な負けなのか、あるいは手法そのものに欠陥があるのか、の分析ができます。
客観的な分析ができるので、有効な対策を立てる事も比較的容易です。
より確固とした勝ち方を身につける為にデモトレに戻るのも良し、淡々とデイトレする意識を強く持って継続するもよし。
一方、デモトレ未経験者の場合、なぜ負けたのかを正確には分析できません。
勝ち方を知らないのですから当然とも言えます。
「いや、俺は勝っているトレーダーから教わった方法でやったんだ」
「e-bookに書いてあった通りにやったのに?」
という場合もあるでしょうが、所詮は「座学」レベルの知識にすぎません。
デモトレとは言え現実の相場に直面し、リアルタイムでエントリーしたりエグジットしたりした経験が無ければ、実弾トレードで負けた場合の本当の原因はわからないのです。
「わからない」のですから、そこから出てくる対策も、根拠希薄です。
そして、これこそが最大の問題点なのですが、多くの実弾トレ&ビギナーが、
負ける度に手法を変更する方向に走る
事です。
自分の習ったいかにも優位性の有りそうな手法であっても、負けた途端に、まるで信じられなくなってしまうのです。
かといって、デモトレに戻れる訳でもありません。
「何をいまさら!」です。
いかに優秀な手法であっても、負けトレードは避けられません。
それは頭では重々理解できているつもりでも、自分の資金が傷つく痛みには耐えられないのです。
という事は、絶対存在しない聖杯を求めて放浪するしかなくなってしまいます。
ここで、デモトレのデメリットも挙げておきましょう。
まず、デモトレで勝てたとしても、実弾で稼げる保証が無い事です。
これは上記解説の通り、心理的要素が加わって難度が増すという事が大きいです。
でもそれを前提事項として理解しているなら、少しもデメリットにはならないでしょう。
デモトレと実弾トレとは違うものだから、デモトレに意味は無い!
これは、デモトレのメリットを理解していない人だから言える事です。
デモトレなんて、気合いが入らんよ!
そういう人もいます。理解もできます。
そういう人に無理強いするつもりはありません。
更に問題なのは「ルールそのもの」がデモトレと実弾で違ってくる場合です。
例えば株式のペーパートレの場合と実トレの場合で、スリッページ等に差が生じる場合があります。
広告を見てバーゲン会場に出向いたからといって、必ずしも狙った商品を買って帰れるとは限らないという事です。
残念ながら、実戦でしか得られない経験というものも少なからずあります。
しかし、相当な費用負担が伴うならともかく、自分の虎の子を危険にさらす必要も無い上に、無料なのですから、多少の事には目をつむる必要もあるのではないでしょうか?
対策としては、買い値・売り値を、常に自分には厳しい数字で記録するよう心がける事です。
常に指値で板にぶつけ、タイミング的に余裕のあるトレードを積み重ねていけば、この問題はかなり小さくできます。
そして、これは特にFXに有りがちですが、デモトレではいつも確実に一定のスプレッドで売買できていたものが、実弾に変えた途端に、ビヨヨ~~ンと広がったり、システムが突然凍りつく場面に遭遇したりする事です。
あまり酷い場合は、証券会社を疑ったり変えたりする必要があります。
というか、予め疑ってかかって当然でしょう。
これについては、いずれまた改めて書きたいと思います。
完璧とは言えないまでも、それなりの対策はあります。
FXをやらない理由にするのは、ちょっと短気すぎるかも?です。
世の中には、いきなり実弾で稼げてしまう人も、きっといる事でしょう。
そんな人には、デモトレなんて意味不明でしょう。
もしかしたら、あなたが、その人かもしれません。
可能性は、誰にも否定はできません。
デモトレの是非、あなたなりに考えた上で結論して頂ければ、それがあなたの正解です。
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