移動平均線(=Moving Average=以下、MA)と言えばテクニカル分析の中でも最もスタンダードな指標であり、殆どのトレーダーが日々活用されていると思います。
このブログでも既に、「MAの上で買い、下で売れ!」とかいろいろ書いてきましたし、テクニカル分析関連の参考書等でもさんざん解説されているので、そういうありきたりの事には飽き飽きしている方もおられるでしょう。
ですので少し角度を変えて、「もしかしたら、知らない人も少なくないのでは?」と思う事を書いてみたいと思います。
「ゴールデンクロス」というトレード用語をご存じの方は多いと思います。
長期MAを短期MAが、下から上に抜けたら買い!(逆に、上から下に抜けたら売り!)
とか、
MAを株価が下から上に突き抜けたら買い!(逆に、上から下に突き抜けたら売り!)
というアレです。
これだけで勝ち続けるのは難しいものの、一応頭の隅に入れてトレードして損は無いと思います。
では、なぜこれが買いサインや売りサインとして機能するのか、その理由まで考えてみた事はあるでしょうか?(ちなみに「トレンドに乗るから」という答えなら100点満点で、50点弱です。)
単にノウハウとして知っているだけなのと、機能する理由まで理解して使っているのとでは、結果にも影響が出てくるかもしれません。
これを考えてみる為の補助線として、まず以下の事について明らかにしたいと思います。
MAと株価の間には、
「互いの距離が離れすぎると引力が発生し、互いの距離が接近し過ぎると斥力(反発する力)が働く」
という関係(又は性質)があります。
「離れ過ぎると引力が働く」というのは、売られ過ぎれば買い戻され、買われ過ぎれば反落するという事で、日々目にしている自然な現象だと言えます。
もっと「離れ過ぎ」を客観的に評価する指標として「移動平均乖離率」というものがあり、世の中にはこれだけでシステムトレードをし、且つ稼いでいる人もいます。
でもこれはスイング系トレードに属し、デイトレーダーにはなじみが薄くても仕方ないでしょう。
それから、もう一つ大事な事として「離れ過ぎでもなく、近すぎもしない中長期MAは、デイトレでは無視して構わない」というのがあります。
これは、テクニカル分析の定説でも何でもなく、私個人の見解ですので、あなたが「一利ある」と思えば採用して頂ければ良いし、納得できなければ無視して頂きたいと思います。(何事も「鵜呑み」はいけません。)
MAには、日足チャートだけでも200MA、100MA、65MA、50MA、25MA、21MA、10MA、5MAなど多種類存在しますが、
「50日以上のMAなんて、デイトレには無用だ!」
なんて、デイトレーダーも少なくないと思います。
でもこれは半分正解で、半分誤りだと私は思っています。
ある任意の日の株価の位置に対して、その日ローソク足(髭の先も含めて)が届きうる範囲よりも遠い位置にある中長期MAは無視して構いません。
しかし、ローソク足が届く範囲に中長期MAが存在する場合は、その期間が長いMAほどトレードする上で検討の対象にすべきなのです。
期間の長いMAほど、支持線・抵抗線としての力が強いからです。(この理由は、あなたが考えてみて下さい。無理ならコメントで聞いて下さい。)
期間の長いMAほどデイトレと関係無い位置に存在していて無視しても構わない日の割合が多いのは確かですが、いざローソク足の動きうる範囲に接近して来たら(接近していくのは株価の方ですが・・)、強力な支持線、又は抵抗線として考慮しないと損する場合が少なくないのです。
単純に「コレ使う、コレいらない」みたいに表示させるMAと表示させないMAを選別してしまうのは、大切なものを見逃している可能性があるという事です。
この事の妥当性については、あなた自身で複数の銘柄、複数のMAを使って確認・検証されてみて下さい。(「多数のMAを表示させる方が良い」と主張しているのではありません。見る価値のあるものは見た方が得だし、見る価値の無いものは表示させるだけ邪魔だというのです。kabuマシーンをもってしても、一度に表示できるMAは最大3種類です。でもそれはチャート1枚の中での事。ちょっと工夫すれば、銘柄毎にどのMAが接近中かを判定する為のページくらい、簡単に設定できるはずです。)
次回は、ようやく本題の「MAの斥力」について解説すると共に、「ゴールデンクロス」が機能する理由について明らかにしたいと思います。
これを知る事で、あなたのMAへの洞察がより深まる事は(多分?)間違いないと思います。
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