前回の記事では、株価がMAの下にある時にはMAの位置は「理想の高値」として意識されるという事を書きました。
その為、株価がMAに接近するほど「売り手」が増えるのであり、言い換えれば「上昇する動きへの抵抗」として機能する事になります。
これをもっと単純に言うと「上値抵抗線」という事になる訳です。
一方、株価がMAの上にある時には、MAの位置は「下値の目途」に見えます。
株価がMAの上にあるのですから、(どちらかと言えば)そのMAに対して株価は上昇傾向にあります。
上昇傾向にある株なら、誰でも安いところで買いたくなります。
注目しているMAの少しでも上側なら「お買い得」なので「買い手」が多くなり、言い換えれば「下落する動きへの抵抗」として機能する事になります。
これをもっと単純に言うと「下値支持線」という事になる訳です。
MAの下と上で、手の平を返したように、働く力が全く逆になります。
日常生活では平均1000円のTシャツを買う場合、「980円なら安く感じて買い、1050円なら高く感じて買わない」という判断をしても全く問題はありません。
でも、トレードではそうした「やり易い事」が利益とは「真逆」を向いた行動となりやすい事を、理解しておく必要があります。
予習している時には「こうなったら買い」みたいに決めていたのに、いざその場面に遭遇すると、途端に怖くなって注文が出せなくなったりします。
それは、普通の人がトレードをしていく時には必ず経験する事です。
誰でも直感的に「損しそうだ!」と感じるような行動を起こす事には抵抗があります。
それでも毅然と実行できる人だけが収支を安定させる事が可能になります。
理論的にはMAには幅がありませんが、実際の相場ではある程度の幅を意識した方が現実に即したものになります。
MAに接近しただけで、人々の思いが交錯する為です。
気の早い人もいれば、のんびりした人もいるし、順張りが好きな人もいれば逆張がすきな人もおり、そうした思惑がぶつかり合って、どちらに分があるか判断が難しくなります。
だから、
右のチャートのように、MAに近いゾーンでは様子見に徹するのがお勧めです。
(表示は「移動平均エンベロープ±0.5%ですが、この程度のMAの幅を意識できるなら、無理にチャートに表示させる必要は有りません。)
この「MAの幅」はアナログな感覚であり曖昧なものですが、そこで行動を保留する分にはさほど問題にはならないはずです。
そして、このチャートのようにギャップアップでMAの幅を飛び越して寄りついた場合には、感覚的には「高いな~」と感じても、毅然と買えるようになって頂きたいと思います。
MAのブレイクだけを根拠に売買する事も可能ですが、このチャートのようにローソク足のパターン(ペナントの完成+右下がりトレンドライン上方ブレイク)と重なれば、より信頼性の高い「買いサイン」という事になります。
このチャートは、65MAに加え、75MA(65MAより一般にはメジャー)、100MA(75MAと同等以上にメジャー)を表示させたものです。
65MA1本より、更に確信を強めてギャップアップの寄りつきを買いに行けると思います。
何種類もあるMAを全てチェックする事は、多数の銘柄を予習する上ではとても負担になります。
だから、予習の時にはせいぜい2~3本のお気に入りのMAを表示させれば十分で、ローソク足のパターン(支持線・抵抗線、ペナント、フラッグ、トレンドライン、ダブルトップ、ダブルボトム等々)発見の方に力をいれる事をお勧めします。
そして「値幅縮小」している銘柄を見つければ、しばらくは毎日監視し続けます。
朝、気配値の段階でもできるだけチェックして下さい。
面倒臭い地味な作業ですが、それこそが自分をチャンスに遭遇させる可能性を高める行為であり、「デイトレーダーのお仕事」そのものであると言っても過言ではないと思います。
そして、例えばこの信越化学のようなローソク足のパターンを見つけたら、できるだけ多くの種類のMAも表示させてみて、ギャップアップした場合の優位性について、あれこれ考えておきます。
私がアンテナ買いした日、まだ上にメジャーなMAが控えていて、どちらかと言えば弱気になってもしかたない位置で引けました。
でも、それによって翌朝は間違い無く「4063」は寄りつき前から注目する事ができます。
間違い無く注目する事ができるなら、アンテナ買いなんてする必要は無く、お勧めもしませんが、いろいろ自分に有った方法を試しながら探して行くのも、悪い事ではないと思っています。
最近のコメント