投資と投機は元来、水と油ほども異なる性質ものものなので、それを分類する方法、考え方にも実に多様なバリエーションがあります。
でも、最も簡単で誤解も少ない区別の仕方は、
エントリー時に、既に反対売買する事を前提としている = 投機
エントリーする以上、所有する事が目的であり、反対売買を前提としていない = 投資
になると思われます。
株の信用取引などは、返済期日が予め設定されているのですから、買いであろうが空売りであろうが、100%ピュアに「投機」だという事になります。
「投資歴は10年を超えます。」
と自慢げに話す人に「何に投資してこられたのですか?」って聞くと、「株の信用取引ですよ。」なんて答える人は、パジャマ着て夜な夜な公園を徘徊する夢遊病患者みたいなものだと言えるでしょう。
一方、投資家の典型としては、やはりウォーレン・バフェットをイメージするのが最適です。
彼にとって投資とは、「良い会社の株を買い、保有し続ける事」を貫き通す事でした。
勿論バフェットが買った株を売った事も有りますが、それは株価が上がったからでもなければ、下がったからでもなく、その会社の魅力が失われたと判断した時なのです。
彼にとって、会社の実態に不釣り合いに株価が高騰するのはむしろ「不快」な事であったと言います。
投機的な思考とは水と油である事が、これでよく理解できると思います。
そして今、自分の事を投資家と思っている人の殆どが、実は「投機家」なのだと思います。
だからって卑下する必要も、落胆する必要も全くありません。
日本語の認識の一部が正しく修正されただけの事です。
自分たちが住む不動産の購入となると、誰が考えても「投資」で間違いないと思うでしょうが、上記の判断基準から考えると、結構曖昧な認識のされ方をしている事が理解できます。
例えば、5000万円のローンを組んで「憧れのマイホーム!」として分譲マンションを買ったものの、購入後何年か経過した後に売れ残っていた空き部屋が値下げされて2000万円で売りに出されたら、
「5000万円で買った私たちの部屋の資産価値の減少をどうしてくれるんだ!」
と、そこに住みながら怒る人達が必ずいます。
もし将来の値上がりに期待して、反対売買する事も視野に入れて部屋を購入したのであれば、それは「投機」であり、値下がりしたのは読みがハズレただけの事で、値段が下がったからといって他人に尻拭いを迫るのはお門違いです。
或いは、もし純粋な投資として購入し、しかもそこに住んでいるのであれば、現在値が上がろうが下がろうが、気にせず保有し続け、住み続ければ良いだけの話しで、これもまた、値段が下がったからと言って他人に食ってかかる事自体が、勘違いと言えるでしょう。
人情としては腹が立つのは十分に理解できるのですが、そういうリスクを絶対に避けたいのであれば、一生「賃貸」で暮らす事をもっと前向きに検討してみても良いのではないでしょうか?
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