例えば高所恐怖という感情は、
「よ~し、明日から俺は高い所でも平気になってやるぞ!」
って、どんなに強く決意したところで、実現できるものではありません。
でも高所恐怖は、訓練によってかなり緩和できるものです。
私が大学生の時、夏休みに住み込みで3週間ほど建設工事の高所作業を行うアルバイトをした事があります。
そのアルバイトを始めて間もない頃、クレーンに吊るされた資材を、ビルの5階程度の高さの足場から手を伸ばして引き寄せる事を命じられたのです。
でも怖くて足場から身を乗り出す事ができず、先輩作業員に大笑いされたのを鮮明に覚えています。
無理に「やれ!」と強要された訳ではなく、私自身が「これじゃいけない」と思って、なるべく高い所から下を見たり、足場の外側をよじ登ったり、とにかく自分を高所に置いて、それに慣れるように努力したのです。
何日目から変われたのか今では思い出せませんが、アルバイトの最後の方では、例えば手すりのないビルの屋上のヘリを平気で歩けるようになっていました。(恐らく現在の労働基準法等では、こんな危険な作業を、しかるべき安全具も無しに素人に作業させる事など許されないはずです。でも1980年代には、そんなバイトが普通に存在していました。更に余談ですが、そのバイトから数年後には、高所恐怖が元に戻っていました。継続的に慣らしていないと、すぐ元に戻ってしまうようです。)
デイトレに要求される決断の多くは、人間の本能を逆なでするものです。
高いから売り、安いから買い、含み損には耐え忍び、含み益は早々に確定するのが、人間の自然な心の動きであり、その全てがマイナスに直結しています。
ですから、そんな人間がデイトレで利益を挙げていく為には、優位性のあるルールを獲得する事が必要になります。
少し痛い目にあってデイトレの現実に目覚めたデイトレーダーは、信頼に足る手法(=売買ルール)を探し求めます。
その行為自体は間違ってはいません。
やみくもに「上がりそう、下がりそう」の思いだけでブタのトレードを繰り返すよりは遥かにマシです。
でも残念ながら、もっと大切な事がわかっていないトレーダーが殆どです。
であるという事を。
最初は、歯を食いしばってルールに従う事ができても、ちょっと勝つと気が緩んで、
「こんなに苦労しないでも、もっと楽な方法があるはずだ!」
とばかり、ルールを自分の楽な方に曲げてしまいます。
あるいは、折角の優位性ある手法でありながら、たったの2連敗でもしようものなら、その手法への信頼が音をたてて崩れ去り、
「もっと他に、優れたノウハウがあるはずだ!」
と考えて、それまでの手法を投げ捨ててしまうのです。
デイトレで何が心を逆なでするかという事をどんどん突き詰めていくと、それは「リスク」に行きつきます。
デイトレで利益を得る為には、
リスクを取る事
(=自己資金を危険にさらす事。更に、実際に損失となる場合も多々ある事を受け入れる事)
が必須であるにもかかわらず、人は生まれながらに、リスクを避けるという本能を持ち、しかも歳を重ねるほどに強化される傾向がある為に、目指している事とやっている事がチグハグのバラバラになってしまっているのです。
では、どうすれば自分のデイトレに一貫性を持たせる事ができるのか?
もう解っている方もいらっしゃるでしょうが、答え合わせは次回という事で。
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