トレンドについて語ろう(最終回)

パンローリングに、

『私は株で200万ドル儲けた』
 ニコラス・ダーバス著

という書籍があります。

ダンサーが本職であるダーバス氏は、ネットもパソコンも無い時代(1950年代)に株式のトレードを電話注文で行いつつ、試行錯誤の中から、

『ボックス理論』

という、それまで誰も気づいていなかった理論を打ち立て、200万ドル(今なら2億円じゃなくて20億円相当?)を稼ぎます。

ボックス理論というのは、株価には狭いレンジの中で上下する期間があり、その狭いレンジを飛び出すと、次のボックスまで上昇、または下落のトレンドが続き、新たなボックスでもみ合った後、また、新規のボックスに向けてトレンドが発生し・・・という事を繰り返しているので、

「ボックスの中にある銘柄を見つけて待ち伏せし、
 ボックスからとび出したところで買えば利益が得られる」

という理論です。


文章では解りにくいと思いますので、


 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
も参照して下さい。

実際は、これほど単純ではありませんが値動きが、

① 値幅縮小期間(=ボックス)

② を飛び出すと(=ブレイクアウト)


③ トレンドが発生し、


④ トレンドが終わると、次の値幅縮小期間に入る

のサイクルを繰り返しているというアイディアは、今の相場でも、しっかりと生きています。

値動きには、値幅が縮小して横ばいしている期間と上昇、又は下降の傾向(=トレンド)を示す2種類の期間がある、という意識をもってチャートを見る必用があります。


そして、値幅が縮小して横ばいしているのを見つけたら、

「なんだ、つまらない!」

思うのではなく、逆に、利益が得られるチャンスに向けてエネルギーが充填(じゅうてん)されつつあると理解し、そのチャンスが来るのを待ち構えて下さい。

ボックス(値幅縮小)の期間にあるのを見つけたら、チャンスが近い事は判るのですが、買いか売りかの判断はつきません。
従ってエントリーしてはいけない期間です。
この間はポジション無しで我慢する必用があります。


ダーバス氏は個別株の売買で稼ぎましたが、この値動きのパターンは、市場を問わず現在でも、あらゆる時間枠で常時発生しているものであり、従って、現代のトレーダーの利益にも直結しています。

トレンドが発生している期間は全体の3割弱で、トレンドの無い期間が7割強と言われています。

稼げるトレーダーは、トレンドが発生している3割の中で集中して稼ぎ、残りの7割は、静観しつつ、次のチャンスに備えて待機しています。

稼げないトレーダーは、こうした値動きのパターンが有るのを知ってか知らずか、常時ポジションさえ取れば

「利益が得られるかも知れない?」

という射幸心に突き動かされてエントリーし、その後の値動きに一喜一憂しています。


もしあなたがFXでトレードされているのなら、例えば15分足チャートで、期間=16と、期間=96のボリンジャーバンド(以下BB)を2種類同時に表示させてみて下さい。(σ=2)
2種類のBBは、赤と青等のように違う色で表示させると見やすいです。

BBのバンドの縮小と拡大は、ボラティリティの縮小と拡大を示してくれる最も見やすい指標の一つであり、ダーバス氏が発見したボックス理論を、

ボックス ≒ BBの縮小期


トレンド発生 ≒ BBの拡大期

として簡易的に表示してくれます。

期間=96のBBが縮小期にある時は模様眺めの期間とし、期間=96の拡大期にある時に、期間=16のBBの縮小=>拡大に移行しつつあるタイミングで、期間96のMAのトレンドと同方向にのみ繰り返し仕掛けるルールで、売買のシミュレーションをしてみる事をおススメします。


デイトレで勝つ為には、常時ポジションを持つのではなく、待機すべき時と出動すべき時を、メリハリをしっかりつけて売買する必要があります。

BBを表示させる時間枠や期間の組み合わせ等は、上記はその一例に過ぎず、研究の余地はいくらでもあります。

そうした継続的な試行錯誤も、テクニカル分析の基礎体力に直結していますので、意欲的に取り組まれる事を強くおススメ致します。

(補足)『私は株で200万ドル儲けた』は、小説のような「読み物」としてお読みになる前提であれば結構ですが、「テクニカル分析を学ぶ」という目的で購入されると、失望される可能性が高いと思われますので、ご注意下さい。

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