鉄板かと思った上値抵抗線が支持線に変わり、いよいよ勢いがつくかと期待したのですが、まるで湿気た花火みたいに勢いがありません。
下げ止まりは確認できたものの、一目でいえば「まだまだ雲の中」の相場が続きそうです。
これについては、次回に繋ぐとして、今日は基本を守るとは?(11)までの内容に区切りをつけたいと思います。(危うく、ウッカリ&尻切れトンボになるところでした。)
1日単位でプラスになったりマイナスになったりするのは普通の事だが、週間プラス達成となると、それなりの実力が伴ってきた証拠ではあるし、参加者の9割を占める負け組から離脱できたのだから、めでたい事には違いない。
これがロボットであれば、「勝つ為のプログラム」のインプットが完了したのだから、その後も毎週トータルプラスが実現できる可能性は高い。
しかし人間はロボットとは違い、そんなに単純ではないのだ。
仮にも週間プラスを達成したという事は、銘柄の選定、エントリーのタイミング、利確の判断、損切りの判断・・・、等々あらゆるトレードの部品が総合的に合格点に達したからであると思われる。
それは、そのトレーダーの絶え間ない努力と、本気で本能に対抗する意志力(=本気力)との賜物である。
しかし、そのスタンスはあくまでも
マイナスの世界からプラスの世界へ移る事
に集中して達成されたものであり、
プラスの世界にい続ける
という事に対しては生まれたばかりの赤子に等しい事が認識されねばならない。
これはどういう事かというと、例えば「銘柄の選定」を例にとれば、トータルマイナスのトレーダーにとって、「勝てる銘柄の選定」は難しいものであり、少しも気を抜く事ができない作業であるはずだ。
安易な銘柄選択では、また痛い損失トレードをやらかしてしまう
という恐怖心があるから、全力で勝てる可能性の高い銘柄を探す。
寄付き前の銘柄探索や、エントリータイミングの絞り込み、手際の良さ・・・、全てが恐怖をバネにして研ぎ澄まされている。
トレードの隅々まで油断の反作用としての痛みを知っており、それを避ける事でトレードが成立しているのである。
ところが週間プラスを達成した途端に、トレーダーは
気が大きくなってしまう
のである。
トレードのあらゆるパーツが痛みを回避する前提で組み立てられていたものが、週間プラスを達成した事を機に快楽を追求するトレードに変容してしまうのである。
或いは別の表現をすれば、トレードのあちこちがユルむのである。
この、トレードの足場が変わってしまって調子を悪くしてしまう現象は、なかなか本人には自覚できないから始末が悪い。
以前と同じようにトレードしているはずなのに、なぜか負けが込んでしまうのである。
これと全く同一ではないが、かなり近い例として5月病というのがある。
一流大学を目指して受験勉強に集中してきた子に限って、志望校に合格したというのに、その志望校に通うという当たり前の事ができなくなってしまう。(一方、ろくに受験勉強をせずに三流大学に入った子は、めったに5月病にはならず、水を得た魚のように遊び始める。要するに、真面目な子だからこそ5月病になるのだ。)
志望校に入学する事のみを究極の目標にしてしまうと、いざそれを達成した段階で次の(本来の)目標を見失ってしまうのである。
これがもし、一流大学に入る事が目的ではなく、一流大学に入って法律を勉強するとか、経営について学ぶとか、何か一つの事について深く研究するとか、入学してからの事を目標にしていたならどうであろうか?
夢にまで見た大学での生活が始まるのだから、5月病になっている暇など無いはずである。
トレーダーにも同じ事が言える。
「週間プラス」などという低い目標を究極の目標のように考えてはいけない。
トレードで稼ぐ為に参加してきたからには、週間プラスなどは単なる通過点に過ぎない。
(「週間プラスなどは単なる通過点に過ぎない」と言っても、通過しない事には話にならないのは当然である。早く「本気」を出して達成してしまう事。しかし最終目標とは程遠いという認識も、また必要なのである。)
週間プラスを単なる通過点とする為には、もっと高く大きな目標を設定し、それに向けて全力で取り組むべきである。
大成功したトレーダー達の著書を読むと共通しているのが、彼らにとって勝つ事(=週間プラス)はトレードを始めた当初から「当たり前」の事にすぎないという事である。
大成功したのだから「勝つのが当たり前」と考えがちだが、まだヒヨコの段階から「勝つ事が当たり前」で「負ける事が異常」という前提でトレードしたから大成功に至ったと私には思える。
常に高い目標を持ち、少々の利益には常にクールである事。
「大敗けした直後にトレードしない」というのと同じくらい、「大勝した直後に安易なトレードをしない」というのも大切である。(とか言いながら、今でもよくやってしまうのである。反省!)
勝ちトレードが嬉しいのは当然だが、常に心の底には
クールな自分が鎮まっている
という状態を意識する事。
これは、あなたがどのレベルのトレーダーであるとしても忘れてはならない。
勝ち続ける事の難しさは、実際に勝ち続けてみないと解らない事ではあるものの、この心構えを予め知っているのといないのとでは、結果が大きく違ってくる事だけは疑いの余地が無い。
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(補足)本能と理性の関係については、こちらのレポートで詳しく解説しています。
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