長文のメール、ありがとうございました。
香港、懐かしいです。
まだ香港の玄関がカイタック空港で、クーロン城も健在だったころに何度も出張しました。
香港にアジア地域の社内教育センターがあって、ビジネスの基礎を中国とかマレーシア、韓国とかの社員と一緒に受講させられました。
その後転職した欧州系銀行でもアジアのセンターは香港なので、度々行きました。
ところで、香港と日本のマネー事情はやっぱりかなり違いますね?
もしかしたら、日本人の投資・投機に対する認識度の低さは、世界有数レベルなのかもしれません。
その元凶が「投資」という単語が「自分の資産を投ずる」という意味にも理解できてしまうので、何でも投資として理解してしまう点にありそうです。
私も(今では)競馬等は見向きもしませんが、スパムメールで、
「あなたの知らない秘密の投資法、驚異的リターンの世界へようこそ!」
みたいなキャッチコピーで「何だろ?」と思って見てみると、競馬情報の会員制クラブの案内だったりします。
競馬とか宝くじの部類を「投資」と称する人々がいて、それにまんまと食いつく人々がまた沢山いる訳です。
私に、
「私はバイナリーオプション○ヶ月の投資初心者です。」
とメールしてくる人もいます。
「ギャンブルは怖い」と思っている人も「投資」として誘われたらフラフラと乗ってしまうようです。
その一方で、日本で株式投資と言えば、まだ「投資」本来の色が濃く残っています。
それを勉強した人が、FXや先物のデイトレまで「投資」と思ってやっている訳ですから、もうムチャクチャです。
当時の私は投資や投機に無知だったので、気づかなくて当然とも言えそうですが?
それにしても、海外から学ぶべき事がまだまだ無限にあるに違いありません。
海外在住の方で、日本の先進性、或は後進性について気づきをお持ちの方は、ぜひ私にもご教授下さい。
よろしくお願い致します。
当方は香港に在住19年目、極小の会社を経営しておりますOと申します。
いつも楽しく『デイトレ生存率向上』を拝読しております。
毎回気付きが有り、本当に良く吟味して文章を書かれているんだなー、と感心致しております。
本日付け『デイトレ生存率向上メールセミナー』No.65を配信頂き、
投資と投機について海外の事情は?との問い掛けを頂きましたので、日頃の感謝を込めて僭越ながらお役に立てればと思い、初めてのメールをさせて頂きます。
少々長文となり恐縮ですが、たかやん様の参考となれば幸甚です。
まず結論からご報告しますと、当地香港では『投資investment』と『投機speculation』には、明確な税法上の違いが有ります。
従って、個人が手持ちの資金を如何に効率的に運用するかを考えた場合、まず最初に『投資』するのか『投機』するのかを決める事は基本中の基本となります。
利益を得る事を唯一無二の目的(得た利益で何をするかはまた別の話)とすれば、ここが理解できなければ、香港では先に進む事が出来ません。
従って、日本人一般に比較して、香港で資金を運用すると言う野望を持った人間は『投資investment』と『投機speculation』の明確な違いが分る事が前提となりますし、
事前の調査や研究は必須ですね。
以下に香港における投資と投機の違い、そして更に香港には、調査や考察及び地味な努力が嫌いな方向けの、日本には無い第三のオプションも在りますので、
それぞれの内容を併記してみます。
当方は香港在住が長い為、逆に日本の投資及び投機環境には無知ですので、日本も一緒だという事があればその点はご容赦下さい。
『投資investment』は一般的に事業・不動産などに資金を投入し、株主または所有者としての権利を入手する訳ですが、その権利売買差益は課税の対象となります。
不動産売買益の課税率は一定ですが、株式譲渡益の課税率は一定ではなく、差益に応じて香港税務局が査定を行いますので、
売買譲渡の申告は非常に厳しく規定されており、株式譲渡の場合は基本的に売買成立後3日以内の申告が義務付けられており、
遅延違反すると取引額の10倍(差益のでは有りません)の罰金規定が有ります。
事業投資の場合は投資額に対して3倍~10倍での株式売却を見込みますし、不動産の場合は1.5倍~3倍で転売ですので、規定が厳しいのは当然ですね。
但し、株主配当金収入は全て無税です。
香港政府の見解では、事業所得税で既に税を徴収した後の純利益に対して、それをどう采配するかは企業の自由裁量であり、
税引き後の金である配当金に課税することは、二重課税と言う悪法であるとして禁止しています。
一方、『投機speculation』の差益収入は一切無税です。
ええ、たとえ億単位の差益でもです。
また収支の申告の義務は有りません。
株式・FX・商品などが主な対象ですが、香港政府の基本方針は個人のリスクで行う投機は自己責任の範囲と明確に一線を引いており、
損失を補償しないのであれば、差益に課税する理由が無い、と言う事です。
第三のオプションとして『賭博gambling』が有ります。
香港から海上高速フェリー(365日24時間アクセス可)で1時間の至近距離にマカオが在ります。
マカオも中国に返還されたポルトガルの旧植民地ですが、イギリスの植民地から中国に返還された香港からの渡航は通常の外国と同様に出入国手続が必要です。
まあ、中国本土⇔香港⇔マカオのそれぞれの出入りは、全員厳密な国境審査(入出国 管理)が在り、とても全て中国として一括りには出来ないのですが。
話を戻します。
マカオと言えば、言わずと知れた合法SEXと合法ギャンブルの街ですね。
数少ない歴史的観光物もあるには有りますが、マカオ自体が非常に小さなテリトリーであり、半日も在れば観光は充分に見切ってしまいます。
にもかかわらず、年中諸外国からの訪問客が途絶えないのは、レジャー施設とカジノを内包した超高級ホテルから場末の賭場まで、
資金の多寡に応じたあらゆるギャンブル施設があるからでしょう。
勝てば上限の無いお大尽遊びが出来、負ければ24時間何時でも香港に帰れる、ギャンブル中毒者には堪らない場所です。
以上の事から、香港で合法的に資金を運用する方法は、
① 『投資investment』
期待益が大きいが、有力なコネや情報収集力が無いと難しい。
全ての過程を個人でこなす事は困難であり、法律家や会計士などのサポートが一般的。
自ずと資金力や社会的地位に制限が掛かる。
収益は課税対象。
② 『投機speculation』
最も一般的な資金運用方法。
香港では市中銀行が証券株式売買サービスを行っており、参加の敷居が低いのでリタイヤ組や主婦など多くの人が利用している。
また、企業及び従業者全員に義務付けられる強制年金制度が積立金の投機運用を前提としており、
政府認可の積立てファンド会社が元金保証から無保証ハイリターンまで非常に豊富な運用商品を用意し、
個人が自分で運用先を選択することが原則の為、広義では香港の就業者全員が投機運用者とも言える。
投機対象はネット環境で随時変更が可能な為、個人の自由度が非常に高い。
収益は完全無税。
③ 『賭博gambling』
一大カジノ都市マカオと、香港の公営ギャンブル「競馬」が賭博対象であり、その賭博性は日本の公営ギャンブルの比ではない。
因みに私は、競馬・競輪・パチンコ・麻雀をした事が無く、全くギャンブルに興味が無いので、
この部分の詳細説明はする資格が無いが、確か1997年には競馬で6億日本円相当の当選があった。
自制が効かない愚か者は、一千万日本円相当の負けを短時間に作る事も日常的で、それだけに香港人はギャンブルの危険性の理解が日本人より高い気がする。
収益は完全無税。
の3対象ですが、全てシステムが違いますので、香港での認識は自ずと明確に区別されていると言って良いかと思います。
3対象全てに共通する事は、損失も当然あるという事(年金積み立ても個人の責任で、しくじれば減ってしまう)くらいでしょうか。
なぜあえてギャンブルを加えさせて頂いたかという点ですが、たかやん様の仰る通り、日本では①と②の区別認識が希薄な事は言うに及ばず、
私が思うに多くの人が②と③の区別すらもあやふやなのでは?としばしば思うからです。
投機において、勝敗の回数に拘るなどはまさしくギャンブルとの区別が出来ていない方も多いのかな?と。
以上取り留めの無い内容で恐縮ですが既に長くなりましたので、今回のご報告は此処までとさせて頂きます。
何故世界中の企業が香港に進出し、世界中の銀行が金融ハブとして香港に支店を置いているのか?
まだまだ投資家&投機家にとって知られざる魅力が多い香港ですが、ご要望があれば別の機会に意見を述べてみたいと思います。
末筆となりましたが、たかやん様の益々のご活躍を祈念致しております。
以上、香港よりご報告させて頂きました。