3年くらい前でしょうか、板情報がそれまで3本値だったのが、5本値まで見えるようになりました。
急に視界が開けたような気がして、その事を先輩トレーダーに話したのですが、
「俺は今でも3本値を使っているし、実際には現値のところしか見てないよ。」
と言うので、驚いたものです。
答:現在最も安く買える値段と、もっとも高く売れる値段を知る為の情報
確かなのは、これだけです。
- 「上値が重い」
- 「厚い蓋がある」
- 「買い板が厚くて、売り板は薄い」
- 「現値より数ティック下に厚い買板がある」
こうした様々な思惑で売買の判断をされていると思います。
でも先の先輩トレーダーがなぜ「現値しか見ていない」と言ったのか、一度は考えてみる価値があると思います。
「見せ板」という言葉はご存知だと思います。
実際にはその価格での売買する意思がないのに、指値注文を入れ、その注文が板に反映されている状態です。
これは一応「違法行為」とされているものの、一旦出した指値注文を引っ込めるのは自由だし、「売買する意思」が実際にあったか、無かったかの証明はそう簡単にできるものでもありませんから、あまり違法行為として摘発されたという話は聞きません。
従って「見せ板やり放題」の状態です。
現値の板以外は、どれだけ本気かわからない、ただの数字にすぎません。
証券会社のプロ達が、あの手この手で「見せ板」を演出し、経験不足トレーダーから資金を「毎日」巻き上げているという事実、ご存知とは思いますが、改めて認識してみて下さい。
本当に買いたければ、現値の売板にぶつけるか、現値の買板に並びます。
現値の数ティック上に指値するというのは、
「本気度が薄い」「見せてるだけ」
と、まず疑ってかかる必要があります。
例えば4ティック上に厚い板がドーンと蓋のように待ち構えている時。
到底ブレイクできるとは思えないかもしれませんが、実際に現値がそこまで移動しても、そこにまだ存在しているかどうかは全く分かりません。
その板を出している人間だって、間違いなく「高く売れるものなら1円でも高く売りたい」と思っているのです。
買エネルギーが強いとわかれば、あっけなく消えて無くなります。
現値から離れた位置に厚い蓋があれば、それはアキュムレーションのサインかもしれません。
「ほら、この価格以上にはなりっこないんだから、とっととあきらめて売っちゃいな。」
と言いながら、どんどん買い集めているのかもしれません。
蓋を見て、つい買い控えたり、利確したとたんに「急騰」した。
なんてのは、だいたいこれにやられている訳です。
現値より離れた位置に厚い買板が見えるのは、ディストリビューションのサインかもしれません。
「この価格でならいつでも買ってやるから、安心して買いなさい。」
と言いながら、大量の持ち株を売りさばいているのかもしれません。
「ここまで安ければ買いごろだろう。すぐ下には厚い板があるし。」
なんていって買ったり、ナンピンしたとたんに梯子をはずされた事はありませんか? (実際、こうした事は毎日繰り返されています。勿論、全部がそうだとは言いませんが・・・)
私は、板情報を根拠にしたノウハウを否定するつもりはありません。
すごく儲かっている人もいる事でしょう。
でも、それは簡単にはできるはずがない事も知っておいて下さい。
私も試した事がありましたが、とても難しく、自分のトレードスタイルの方が壊れてしまうので、すぐ止めてしまいました。
本屋で1000円前後で買える本のノウハウを、ちょっとかじったくらいでバンバン儲かる方がおかしいのです。
板情報を根拠にしたノウハウに共通しているのは、「スキャルピング」的であるという事です。
損がでれば即刻「なんとも思わずに」損切し、ある程度の利益ですぐさま撤退する。(秒単位の判断力が必要で、デイトレでも最もシビアな「運動神経」が要求されます。)
そうした徹底した規律は勿論の事、板情報だけから、売り時、買い時を判断できる特殊な才能、あるいは大変な訓練が必要になります。
チャートを根拠にデイトレするか、板を根拠にデイトレするか? 選ぶのはあなたです。
私はチャートを選びましたが「板じゃ、だめだ」と言うつもりもありません。
ただ、板情報は「現値」以外はなんらの実態的裏づけも無く、無数のプロが「訳知り顔の新米トレーダー」に罠を仕掛けている場にすぎない、という可能性もある事を認識して頂きたいと思います。
板情報は「現在」の価格や板の厚さを知る上で欠かせませんが、その先となると、実体なのか蜃気楼なのか判然としない「曖昧な情報」しか提供していません。
人は、ディスプレイに表示されている事は、無意識に信用してしまいがちですが、所詮マーケットには「未来が見える眼鏡」など存在しないし、存在する訳も無いと言う事を理解して下さい。
板についての私の見解を述べましたので、次回はチャートについて、今までより少しだけレベルを上げた内容を書いてみたいと思います。
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