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2003年01月20日

サブプライムローン

サブプライムローン(米:subprime lending)は、主にアメリカ合衆国において貸し付けられたローンのうち、優良顧客(プライム層)向けでないものをいう。
狭義には、住宅を担保とする住宅ローンに限定されるが、広義には、自動車担保など住宅以外を担保とするものを含む。
一般的に他のローンと比べて信頼度が低いとされている。

2007年あたりから、その貸付の返済不能などが問題となっているのは、主に住宅ローン(狭義のサブプライムローン)に関するものである。

概要
住宅ローンの実施にあたっては、債務者の信用力の調査が行われる。
ここで十分な信用力を債務者が有していれば、その信用に基づく貸付として、古典的な住宅ローンとして扱われる。
ここで所定の古典的な基準を満たさない債務者に対する貸付を行う場合を総称してサブプライムローンと呼ぶ。
債務者の所得水準が低い場合が典型的であるが、信用力を超えた借入を行って不動産投資を行う場合などにも、同様にサブプライムローンが利用されてきた。

一般的な特徴としては、貸付利率が通常の住宅ローンに比べて高くなり、貸付者が取る信用リスクも高くなる。
このため、債務者が弁済を容易とするための特別なアレンジや、貸付を行う側としては、貸付リスクの分散が通常の住宅ローンよりも重視されることとなる。

サブプライムモーゲージ(subprime mortgage)ともいい、通常は住宅ローン担保証券(RMBSもしくはMBS)の形で証券化され、さらにそれらが債務担保証券(CDO)の形に再証券化されて、投資家に販売される。
RMBSやCDOは格付け機関により格付けされており、市場で取引される。

サブプライムローンの貸付残高は近年拡大したが、債務者の信用水準が一定基準を満たさない者に集中しているという本質的な特質から、サブプライムローンの返済の遅延・不能、および波及的効果としての信用の収縮など、以下のような問題点が表面化している。

問題点

背景
サブプライムローンに限らず、アメリカにおいて、住宅ローンの返済方法として、当初数年間の金利を抑えたり、当初数年間は金利のみの支払いを行ったりと、当初の返済負担を軽減したものが普及し、そのため債務者が自分の返済能力を無視した借入を行うことが可能となり、そのような貸付が増加していた。

本質的には債務不履行のリスクは通常の住宅ローンよりも高い構造を有しているものであるが、住宅の価格が上昇している場面においては、返済の破綻はこれまでは必ずしも表面化しなかった。
債務者の所得が上昇せず、生活費が上昇して本来であれば返済に行き詰まる状況であっても、住宅価格が上がっている場合には、債務者は住宅価格の値上がり分について、担保余力が拡大することから、その部分を担保に、新たな追加借入を受けることができた(ホームエクイティローン)。
これにより破綻を先延ばしするだけでなく、消費を拡大することもできた。

また、住宅価格が大きく上昇すれば、当該住宅を転売してローンを返済し、さらに売買差益も得ることも可能であった。当初負担の軽い返済方式の普及によって所得からすれば本来、住宅ローンを組めない人にまでローンを組む人が増えて、住宅ブームが拡大する間は破綻が表面化せず、むしろ住宅ブームを加速した。

過熱
こうした当初の支払額を軽減した返済方式は、当初期間経過後、支払額が急増するというリスクがある。
住宅価格の上昇を前提にしない場合でも、この返済方式によるローンは、所得の確実な増加が見込める家庭には合理的だと言えるが、所得が伸びない低所得階層には全く不向きである。ところが住宅ブームの中で、こうした低所得階層や米国へ移民して間もない外国人にまで半ば強引な貸付が行われ、サブプライムローンが拡大していった。
サブプライムローンの行き過ぎは1990年代後半頃から問題視されるようになっていた。

このような行き過ぎの中で、低所得階層に過重な手数料を求めたり、あるいは返済できないために低所得階層が物件を差し押さえられ住宅を失ったりといった問題が生み出された。
この問題は略奪的貸付(predatory lending)として知られる。
かつてアメリカでは、貧しい黒人居住地域を金融機関が融資上差別したことが、レッドライニングと呼ばれる社会問題を生み出したが、住宅ブームの中で、むしろ貸し過ぎが問題にされるようになった。
なお、この略奪的貸付については、低所得階層が貸し込み先になっているという意味で、日本における消費者金融の多重債務問題や、バブル経済下での目先の収益獲得に追われた金融機関による、中小・零細企業への貸し剥がしと性格が似ているという指摘がある。

もともとアメリカの住宅ローンでは、融資する側では金融機関による融資とローン債権の流動化がローンの拡大を支えていたが、流動化がこのような信用力の劣るサブプライムローンにまで及んできたことは、サブプライムローンの拡大を下支えした。

延滞の増加・信用の収縮
しかし、住宅価格上昇率が2006年に入って以降急速に鈍化すると、予測されたことだが、サブプライムローンの延滞率が目だって上昇を始めた。
2006年末に住宅ローン全体の約13%を占めるサブプライムローンにおいて利払いが3か月以上滞る延滞率が13%を超えた。
担保住宅処分後により8割は回収できるとされるが、その想定が甘いとの指摘もある(日本経済新聞2007年3月19日による)。

債務者の延滞が顕著となってくると、次には、サブプライムローンの貸し手である融資専門会社に対する融資に金融機関が慎重になり、専門会社の中には資金繰りが悪化して経営破綻する例が出始めた。
大手金融機関では貸倒引当金を増やしているが、その利益を圧迫する結果になっている。

2007年3月13日に大手のニュー・センチュリー・ファイナンシャルが、経営破綻が懸念されるとしてNYSEでの取引が停止され、上場廃止が決まった。
3月20日までに連邦倒産法第11章に基づく資産保全を申請した会社は4社、業務停止は20社以上となった。
その後、ニュー・センチュリーは4月2日に連邦倒産法第11章の適用を申請した。

サブプライムローンは、性質上は一般に貸付債権として、他の金融商品の構成要素として含まれている。
そもそも金融商品は本質的に高い利回りを求められるものであり、サブプライムローンが、高い利率による貸付債権であり、少なくとも想定上は高い利回りが期待できるものであることが、その背景にあった。

これらの金融商品については、必ずしも構成要素にサブプライムローンが含まれていることを明示していなかったり、あるいは、そのリスクについて、大数の法則・担保の提供により軽減されているとされていたりするものであるが、実際にサブプライムローンの延滞率が上昇してくると、必ずしも当初の目論見どおりにリスクがヘッジされているわけではなく、金融商品自体が想定された利回りを下回ったり、元本自体の返済が不能となったりする例が浮上してきている。

こうして、サブプライムローンの信用リスクの顕在化は、サブプライムの債権を対象として組み込んだ金融商品の信用リスクに波及することとなる。

2007年6月22日には、米大手証券ベアスターンズ傘下のヘッジファンドが、サブプライムに関連した運用に失敗したことが明らかになり、問題は金融市場全体に拡大した。
ファンドの中には、資金繰りが悪化して資金の引出を停止したり、解散を決めたりするものが相次いだ。
ファンドは大手金融機関から多額の融資を受けており、問題の拡大が懸念された。
ヘッジファンドは、高い利回りを求めて、住宅ローン担保証券の中でもリスクの高いエクイティ債やエクイティ債を組み込んだ債務担保証券に好んで投資してきた。

7月10日には米格付け機関のムーディーズが、サブプライムを組み込んだ住宅ローン担保証券RMBSの大量格下げを発表した。
この結果、投資家がリスクマネーの供給に慎重になるなど、心理的影響の波及も懸念されている。
さらに、この格下げのタイミングが後手に回ったとして、格付け機関自体の信用度を疑問視する意見も出ている。

また、サブプライムローンに関する問題は、いわゆる優良な顧客としての、通常の債務者を対象とする住宅ローンなどの貸付に関する貸付の縮小の動きにも繋がっていることから、限定された債務者に対する貸付の問題のみならず、より広く融資・信用供与のシステム全体における動揺をもたらすものであるとの懸念が起こっている。

金融政策的対応
サブプライムローンに関する信用への問題が顕在化するにつれて、それを要因に含んだものとされる各国の株式市場の株価の下落や、為替におけるドル安の動きなどが見られた。
アメリカ合衆国の政府はじめ金融当局は、サブプライムローン問題の直接の金融システムないしは信用システムに対する危機的悪影響を否定しているが、アメリカ連邦準備制度理事会や各国の中央銀行は、市場に対する資金の供給量を増すなど、本問題を契機とする信用問題に対して一定の対策を取りはじめている。

8月、事態を重く見たジョージ・W・ブッシュ大統領はサブプライム問題の被害者への救済に乗りだすことを表明した。

資本市場への影響、及び問題の本質
サブプライム問題の背景として論じられる幾つかの要素は、必ずしも本現象の直接的な要因とは言えないものもある。
例えば変動金利型ローンは、銀行等の住宅ローン債権者にとって元来管理が難しかった金利変動リスクを、デュレーション(債権キャッシュフローの平均回収期間)の短期化を通じてより効率的に管理する有効なツールであり、サブプライムビジネス固有の金融商品ではない。 また、サブプライム層に対する融資も、(強制的な貸付け等、一部に指摘されている様な倫理的に問題のあるケースを除き)借り手の信用力がローン金利の高低等によって適切に調整・吸収されている限りは問題ない。
問題となるのは、あくまで債権者側が従来見積もっていた様な債務不履行確率(及びそれに基づく貸付金利の設定)以上に実際の債務不履行事象が発生する等の場合であり、また、その様なアウトライヤーイベント(想定外の事象)の発生するリスクはサブプライムローンに限らず、より信用力の高い貸し手に対するローンビジネス、或いは金融以外の様々な経済取引においても同様に起こり得ることである。

ベアースターンズやBNPパリバ等のヘッジファンドのニュースにしても、本質的には一部の金融機関が一部の金融取引でのアウトライヤーイベントの発生によって想定外の損失を被った、ということでしかない。
ただし、2007年7月から同年8月にかけて、サブプライム問題を材料に世界中で株価の急落や信用市場の混乱、果てはFRBによる公定歩合の緊急引き下げといった事態にまで発展した最大の要因は、幾層もの証券化を通じて住宅ローン債権の本来のリスク特性が見えなくなっていた中で、市場参加者の多くがパニック的に極端なリスク回避行動に出たことにあると言える。

ドイツ銀行のアナリストは、この問題で世界の銀行が被る損失を最大4000億ドルと試算しています。
「アメリカがくしゃみをすれば風邪をひく」といわれる日本株ですが、アメリカが肺炎になったら日本はどうなるんでしょうか?


出典:フリー百科事典「ウィキペディア」

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